集中治療室にいたのは20代女性 基礎疾患なし

今回、FNNでは、新型コロナウイルスの重症患者を治療する、日本医科大学付属病院(東京・文京区)の集中治療室の様子を取材した。

8月13日、治療を受けていたのは、20代の女性。8月初めに陽性と判明し、基礎疾患はなかったが、重症化。入院中に症状が悪化したため、『最後の砦』ともいわれるECMO=人工肺を装着する治療を受けていた。治療後、女性は回復の傾向にあるという。

若い年代や働き盛り世代で増える重症患者。ECMOや人工呼吸器の装着を必要とする人も多い。

日本医科大学付属病院・高度救命救急センター 横堀センター長「先が見えない。助かる命が助からなくなる」
日本医科大学付属病院・高度救命救急センター 横堀センター長「先が見えない。助かる命が助からなくなる」
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日本医科大学付属病院・高度救命救急センター 横堀將司センター長:
第5波の特徴は、重症化のスピードが速いということと、30代から50代までの、まだワクチンを打っていない人が、多く重症化している。

第3波では60代以上が重症患者の8割を占めた東京都。しかし現在の感染拡大では、ワクチン接種が行き届いていない50代以下がおよそ7割を占めている。30代以下の重症患者でいえば、17日時点で、10代が1人、20代が5人、30代が21人で合わせて27にのぼっている。

日本医科大学付属病院では、8月初めに9床だった重症病床を13床に増やして対応に当たっているが、満床の状態が続いていて、取材した日も10件の救急搬送の受け入れを断らざるを得なかった。

満床が続く中、10件の救急搬送受け入れを断らざるを得ない事態に
満床が続く中、10件の救急搬送受け入れを断らざるを得ない事態に

日本医科大学付属病院・高度救命救急センター 横堀將司センター長:
医療の中で起こっているひっ迫の度合いを、果たしてどれだけの人が認識して、危機感を持っているか。今や医療のキャパシティを完全に超えているような状況にある。

また、重症患者の増加を受けて、医師や看護師などの医療従事者が不足している中、病床を増やすことは簡単ではないという。

日本医科大学付属病院・高度救命救急センター 横堀將司センター長:
ベッドを増やせば済むだろうという話ではなくて、そこには『人』がいないとダメ。重症患者を診るスキルがしっかりとしている医療従事者を確保しなければいけない。感染者を減らさない限り、ずっとこれが続くし、先が見えない。助かる命が助からなくなる。本当にそこを強く訴えたい。

(フジテレビ社会部・コロナ取材班 小河内澪)

小河内澪
小河内澪

フジテレビ報道局社会部所属。司法クラブで検察担当、警視庁クラブで捜査二課担当を経て、現在は遊軍としてコロナ取材に従事。アメリカ生まれアメリカ育ち。