新型コロナウイルスワクチンの職域接種が進む中、個人の意思をめぐり、新たな課題が発生している。それが「ワクチンハラスメント」だ。

6月17日、大阪市の東成区役所で、職員の誰がワクチン接種を辞退したのかが確認できる状態になっていたことが分かった。

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東成区は集団接種で余ったワクチンを、区の職員などに接種する際の希望者と辞退者をリスト化して、メールで送信していた。

東成区は意図的ではなく配慮が足りなかったと説明しているが、専門家からは接種辞退者へ「なぜ接種をしないのか」という圧力につながりかねないという声も上がっている。

学校や職場で不当な扱いを受ける被害も

実はワクチン接種をめぐり、接種を拒否する人が暗に接種を強制されたり、不当な扱いを受ける「ワクチンハラスメント」が急増しているという。

5月に電話相談のホットラインを開設した日本弁護士連合会によると、5月14~15日の2日間でワクチンハラスメントといえる相談などは、208件寄せられたという。

その相談内容を聞いてみると…。

看護学生の場合は、実習先で接種が望ましいとなり「拒否するなら実習ができない可能性があり、単位が取得できない」と言われたという。

介護施設職員の場合は、職場から「ワクチン接種は義務的。打ちたくないのであればここでは働けない。事実上クビと言われている」との相談もあった。

医療関係者の場合は「職場にワクチンを受ける受けないにチェックする表が張り出されている。受けないにチェックできる空気ではない」とのことだった。

パワハラや損害賠償請求の可能性も

こうした相談について、日本弁護士連合会の川上詩朗弁護士は…。

川上詩朗弁護士:
同僚からも「あなたはワクチンを受けないの?」というようなことを言われて、それが非常に同調圧力になって、そのこと自体が非常にストレスを感じて。それでもう「自分は職場を辞めます」と言って辞めたという方はいらっしゃいましたね

日本弁護士連合会によると、接種を受けないことを選ぶ人の不安は、自身が持つ持病・アレルギー体質の心配や、副反応の懸念が多いという。

川上詩朗弁護士:
過剰に接種を勧めるということは、場合によってはパワハラのような形になってきますから。違法な行為であるということで、損害賠償請求の対象になってくることも十分考えられるだろうというふうに思います

(「イット!」6月17日放送より)