「動物愛護法」で規制強化

ブリーダーなどが飼育する犬やネコの環境を改善するため、6月から規制が強化されたが、動物を救うはずの規制が、一方で新たな問題を生み出している。

神奈川県・相模原市のペットショップでは、ブリーダーが手放した犬や猫を預かり、新たな飼い主に紹介している。

引き取った家族:
犬の生涯は人と触れ合うことで幸せをより感じられることもあると思ったので、こういう取り組みっていいなと…

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実は今、こうした犬や猫が急増しかねない事態になっている。

人と動物がともに生きていける社会を目指す動物愛護法。6月から、この法律による規制が強化された。

小泉環境相(6月1日):
自治体が悪質な事業者に対してレッドカードを出しやすくする

劣悪な環境での動物の飼育に対し、これまで具体的な数値基準がなく、取り締まりには限界があった。

しかし、今回の規制強化でブリーダーやペットショップが飼育できる犬やネコの数、1頭あたりのケージの大きさの基準が設けられた。

交配できる年齢の上限も6歳となり、3年かけて段階的に施行される。

動物愛護団体からは、一定の評価ができるとの声があがっている。

動物環境・福祉協会Eva 松井久美子事務局長:
これまではふわっとした細目しかなかったので一歩前進したのではないか

新たな犬舎を建設するブリーダー

ペット繁殖の現場ではー

ブリーダー歴20年で現在、約100頭のチワワを飼育する岩崎誠さん。

今回の規制により、スタッフの人数を5人から9人に増やす予定。そして…

ブリーダー 岩崎誠さん:
3頭ケージに法律上2頭になるので新しくスペース確保できなければ頭数を減らす話になる

この大きさのケージで飼育できる犬は2頭までに制限された事から、15台のケージを買い足す予定だ。

さらに、これまでの場所ではケージが収容しきれないため、近所に土地を買い、新たに犬舎を建てることで対応のメドが立った。

ブリーダー 岩崎誠さん:
見つけるだけで半年くらいかかった。数字では簡単に言うが最初の(準備)期間とかもう少し長めにもってもらわないと困る人はいっぱいいると…

「経営自体成り立たない…」

一方で、別のブリーダーからはこんな声も。

埼玉県のブリーダー:
頭数を減らすしかないのが現状。飼い主を探さないと必要経費で(お金が)なくなってくると経営自体成り立たない

ペット事業者などによる団体の調査では、規制により犬やネコを手放す事業者が増え、3年後には10万頭を超える犬の行き場がなくなってしまう可能性がある。

ペットパーク流通協会 上原勝三会長:
大型の施設ほど今回の数値規制にそぐわない。そうするとその人達の頭数が多いから、それだけ(手放される犬が)出てきてしまう

これに対し、愛護団体側は…

動物環境・福祉協会Eva 松井久美子事務局長:
期間があるわけだから先を見越して頭数を今から制限し事業者の責任として行き場を考えるべき

この問題について、環境省は、困っている事業者に補助金制度を紹介するなどの取り組みを行っている。

不幸な動物を減らし、人間と動物が共生できる社会にするため、私たち1人1人が考える必要がある。

(「Live News days」6月10日放送より)