米・巨大IT企業が日本の起業家支援を
アメリカのIT大手・グーグルは11月19日、日本のスタートアップ企業を支援するための拠点を東京・渋谷に開設した。
ロンドンやサンパウロ、ソウルなどに次いで世界で7つ目の拠点だ。
まずは、全国から募集したAI=人工知能を活用したビジネスを展開するスタートアップ企業、最大12社を2020年2月から3カ月間にわたり、支援するという。
渋谷の日本法人の本社内に、拠点として作業スペースや会議室が設けられていて、グーグルの社員らが経営やAIの技術について研修や指導を行うということだ。
来日したグーグル スンダ―・ピチャイCEO;
日本の起業家と事業の成功を支援することに情熱を持っている。
来年のオリンピック以降に生まれる技術革新を継承していくためにも、この拠点が活用されることを期待している。
ピチャイ氏はこう述べて、期待感を示した。
グーグルは、世界中にこのような拠点を設けることで、日本の起業家を世界の経営者と結び、事業を後押しするとともに、女性起業家の育成にも力を入れる考えだ。
スタートアップの支援をめぐっては、アマゾンも2018年9月に、起業を支援するための拠点を東京にオープンしている。
ニューヨーク、サンフランシスコに次ぐ第3の拠点となる。
アマゾンの子会社が主催するセミナーやトレーニングに無料で参加することができ、各社が日本のスタートアップ支援や、AI人材の育成に取り組んでいる。
アマゾンジャパン合同会社のジェスパー・チャン社長は22日、報道陣に向け、AI人材の育成が急務であると訴えた。
アマゾンジャパン合同会社 ジェスパー・チャン社長;
グローバル市場における競争力の激化、技術革新などにより、日本の企業は改革を迫られている。
AIを教育できる人材を育てることが大切。今後組織にいるすべての人が、 ITリテラシーの向上が必要になってくる。
「日本はAI後進国」 経営者たちに危機感
AI人材の育成をめぐっては、世界のスタートアップ企業に投資を活発に行っているソフトバンクグループの孫正義会長兼社長が危機感を募らせる。
ソフトバンクグループ 孫正義会長兼社長;
日本はいつの間にかAI後進国になってしまった。なぜ日本の会社に投資しないのかと聞かれるが、AIのユニコーンがないからだ。
孫氏は、日本企業が外国に比べて「AI分野への取り組みが遅れている」と指摘する。
そんな危機感が背景にあるのか、11月18日、統合合意の発表記者会見を行った、ヤフーとLINEは、両社のトップが口をそろってAI分野への取り組みについて意気込みを語る。
LINE 出澤社長;
AIテクノロジーによる新しい課題解決、新しいインターフェース、集中投資をしていきたい。
ヤフー親会社のZホールディングス 川邊社長;
これまで以上に、AIなどに1000億以上の投資を大胆にしていく。
川邊氏は、日本・アジアをリードするAIテックカンパニーを目指していきたいとの考えを強調した。
日本企業のAI人材育成はまだ始まったばかり。今後のユニコーン誕生に期待したい。
(フジテレビ報道局経済部 奥山未季子記者)