今から48年前の1971年、神奈川県葉山町の海岸で、磯遊びを楽しまれる両陛下のご静養中の映像には、泣き出した秋篠宮さまをあやされる美智子さまや、ご家族揃って船に乗られる姿まで収められています。
この記事の画像(13枚)葉山は、古くから皇室の静養地であり、それから半世紀近くの年月、毎年のように足を運ばれた地。
だからこそ、今でもご静養中は、多くの人が集まります。
なにせ、両陛下と間近で会え、運が良ければ、直接、お話が出来ることさえあるのです。
会話の内容を聞いてみると
女性:ふきのとう摘みまして
天皇陛下:何かふきのとうを摘んだんだって
皇后さま:まあ、出ました?ふきのとうも少し油断していると大きくなってしまうから
季節の変化を感じ取る幸せを分かち合うこともあれば、耳が遠い女性との会話では…
天皇陛下:どちらから?
女性:耳が聞こえないもので、失礼してごめんなさい
皇后さま:私も(補聴器)入れている。大丈夫、大丈夫
飾らぬ言葉が、聞こえてきます。
両陛下の前で突然泣き出す女性…
2018年2月、そんな葉山で、思いがけない出来事がありました。
女性:陛下にお礼を言いたくて…(泣)
女性の母:泣いちゃダメ
天皇陛下:それは?
女性:17年前の写真…これが私です。17年前の
皇后さま:あっ!
女性:これがいま私です
両陛下の前で突然泣き出した女性が持っていたのは1枚の写真でした。
皇后さま:私この写真みて清子かと思ったの
女性:名前をサーヤと申します…
皇后さま:まあ…
女性の名はご長女・清子さんのニックネーム“サーヤ”と同じだったのです。
それにしても、なぜ泣いていたのか?
両陛下と話していたミラー紗亜耶(サアヤ)さんは、オーストラリア人の父をもつ21歳です。
紗亜耶さん:17年前の写真になるんですが、自分が陛下にスイセンを受け取って貰った時の写真で。
両陛下にお見せしたのは、3歳の紗亜耶さんが陛下にスイセンを渡す写真でした。
両陛下と人々の距離を縮めるきっかけに
実は、その頃の映像を見ると、両陛下との間には一定の距離感があったことがわかります。
例え会話があっても、何メートルも離れた場所から。
そんな散策を終え、両陛下が御用邸に戻られようとしたその時に、スルリと人垣を抜け、飛び出した紗亜耶さん。
天皇陛下:どうもありがとう
皇后さま: スイセンね
紗亜耶さん:ひとりで駆け出していったので、母親は『えっ!?』って焦ったらしいですけど、遠くにいらっしゃる。近くにいるけど遠いという、それを抜け出したかったのかなというか、『いける!』と思ったのかな?とは思います。ほんとにいい度胸してるなというか、今じゃ出来ないですけど…
実はこの17年前のハプニングは、両陛下と人々の距離を縮めるきっかけにもなっていました。
陛下が即位されて、その年まで映像を見ると、人々との間には距離があります。
ところが、紗亜耶さんがスイセンを渡したその翌年からは、両陛下の方が人々の近くまで歩み寄ってこられるようになったのです。
17年の時を超え、お礼を伝えた紗亜耶さんに「おめでとうございます。無事に成人なさってね。お幸せにね」と皇后さまは言葉をかけられました。
側に寄ることすら恐れ多かった両陛下との距離を、グッと近づけたのは、幼い子どもの好奇心が起こした「小さな奇跡」でした。
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